2026年4月1日 - STEP1|家づくり前
「このまま賃貸で暮らすか、そろそろ家を持つか。」
住まいについて考え始めると、一度は出てくる悩みだと思います。
今の賃貸に大きな不満がなければ、急いで家を買う必要はありません。
転勤や転職があるかもしれない。家族構成が変わるかもしれない。住宅ローンを組むことに不安がある。
そう考えれば、賃貸で暮らし続けることにも十分な理由があります。
一方、家賃を払い続けることや、自由に住まいを変えられないことを考えて、「いつかは自分の家を」と思う方もいるでしょう。
どちらが正解ということではありません。
まずは、賃貸と持ち家、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのか。
そこから整理してみましょう。
賃貸の大きなメリットは、身軽さです。
仕事の都合で勤務地が変わった。
子どもが生まれて部屋が足りなくなった。
逆に、子どもが独立して広い家が必要なくなった。
もっと駅に近い場所へ住みたい。
今の住まいが暮らしに合わなくなれば、契約条件に従って退去し、別の住まいへ移ることができます。
これは、一度購入すると簡単には動けない持ち家との大きな違いです。
もうひとつは、建物を所有するための費用を自分で負担しなくていいこと。
賃貸住宅では、所有者に課される固定資産税を入居者が直接支払うことはありません。
また、通常使用による設備の故障や建物そのものの修繕など、貸主側が負担するものについては、自分でまとまった修繕費を用意する必要もありません。
住宅ローンという大きな借入をせずに住まいを確保できることも、人によっては大きなメリットです。
住む場所を固定せず、暮らしの変化に合わせて住み替えていく。
そんな暮らし方には、賃貸が向いています。
「嫌になったら引っ越せる」とはいっても、無料で引っ越せるわけではありません。
新しい物件を借りる際には、契約内容によって、
敷金、礼金、仲介手数料、保証会社の利用料、火災保険料、鍵交換費用などが必要になる場合があります。
さらに引っ越し業者の費用や家具・家電の買い替えまで含めれば、それなりの金額になることもあります。
そのため、転居しやすいことは賃貸のメリットですが、住み替えるたびに初期費用が発生する可能性があることも考えておく必要があります。
もうひとつ、意外と見落とされやすいのが入居審査です。
賃貸住宅を契約するときには、貸主や管理会社、保証会社などによる審査が行われることがあります。
収入や雇用状況などによっては、希望する物件の審査が通らないこともあります。
退職や転職をした直後、自営業になったばかりなど、働き方の変化が審査に影響する可能性もあります。
また近年は、賃貸契約で家賃債務保証会社の利用を条件とする物件もあります。
保証会社によって審査基準は異なるため一概には言えませんが、過去の家賃滞納などが審査に影響する場合もあります。
年齢、収入、保証人の有無、在留資格など、契約時に確認される内容も物件や会社によって異なります。
ですから、
「賃貸なら、いつでも好きな場所へ移れる」
とまでは言い切れません。
身軽さは大きなメリットですが、将来も同じ条件で自由に物件を選べるとは限らない、という面もあります。
賃貸住宅は、あくまで借りている住まいです。
「壁を取ってLDKを広くしたい」
「キッチンを移動したい」
「床を好きな素材に変えたい」
と思っても、自由に工事できるわけではありません。
DIY可能物件など一部の例外はありますが、基本的には賃貸借契約の範囲で暮らすことになります。
家具や照明で自分らしくすることはできても、建物そのものを自分たちの暮らしに合わせて大きく変えることには制約があります。
ここは、持ち家との大きな違いです。
賃貸で暮らしている間は、当然ながら家賃が発生します。
例えば月8万円なら、
年間96万円。
10年間で960万円。
30年間なら2,880万円。
実際には更新料、駐車場代、家賃の改定などもあるため、この計算通りになるとは限りません。
ただし、この2,880万円を見て、
「それなら家を買った方が得」
と単純に考えるのも違います。
持ち家には、住宅の購入費だけでなく、住宅ローンの利息、固定資産税、保険、修繕・メンテナンスなどの費用がかかります。
賃貸と持ち家を比べるなら、
「家賃と住宅ローンのどちらが安いか」だけでは判断できません。
それぞれに必要になる費用と、どんな暮らしをしたいのかを一緒に考える必要があります。
持ち家のメリットのひとつは、住宅ローンを完済した後も所有する不動産が残ることです。
ただし、「家を買えば必ず資産になる」とまでは言えません。
土地や建物の価値は、立地、築年数、建物の状態、不動産市場などによって変わります。
また、持ち家になれば固定資産税や保険、将来の修繕費なども自分で負担します。
給湯器が壊れた。
屋根や外壁のメンテナンスが必要になった。
水回りを交換したい。
賃貸なら貸主側の負担になることがある工事も、持ち家なら基本的には自分たちで考えなければなりません。
その代わり、持ち家には**「自分たちの暮らしに合わせて変えられる」**という自由があります。
家族が集まりやすいLDKにする。
使わなくなった和室を別の用途に変える。
キッチンとダイニングの関係を見直す。
家具に合わせて収納をつくる。
必要に応じて窓や断熱、設備を改修する。
建物の条件や法規などによる制約はありますが、賃貸と比べれば住まいに手を入れられる範囲は大きくなります。
ここは、この教科書で最初にお伝えしておきたいところです。
持ち家を考え始めたからといって、すぐに新築住宅を検討する必要はありません。
中古住宅を購入してリノベーションする方法もあります。
今住んでいる家を直す方法もあります。
実家や相続した住宅を生かせるかもしれません。
もちろん、既存住宅の状態や希望する暮らし、予算によっては、新築の方が合っていることもあります。
このNo.01では、まだどれがいいかを決めません。
次のNo.02で、新築・建売・中古+リノベーション・今ある家のリフォーム/リノベーションについて、それぞれの違いをもう少し詳しく整理していきます。
賃貸には、嫌なら引っ越せる身軽さがあります。
税金や建物の大きな修繕を直接負担しなくていいこともメリットです。
一方、住み替えるたびに費用がかかることがあり、入居には審査があります。自由に改装することも難しく、住み続ける間は家賃が必要です。
持ち家なら、自分たちの暮らしに合わせて住まいを変えやすくなります。
その代わり、購入費だけでなく税金や修繕、メンテナンスについても自分たちで考えていかなければなりません。
だから、
賃貸か、持ち家か。
金額だけで答えを出す必要はないと思います。
これからどこで暮らしたいのか。
仕事や家族はどう変わりそうか。
住まいを自由に変えたいのか。
身軽さを残しておきたいのか。
まずはそんなところから考えてみてください。
どちらを選ぶにしても、それぞれのメリットとデメリットを知って選んだのであれば、その人にとってのひとつの答えだと思います。
私たちは「家を買ってください」とは言いません。ただ「一度、本気で考えてみてください」とは言いたいです。
賃貸か持ち家か迷っている段階でも、相談は歓迎しています。決まっていない状態で来ていただいて、まったく構いません。